”わかりやすい”マニュアル制作講座
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第21回 【レイアウト】DTPの歴史
DTPの誕生
原稿やイラストをレイアウトして印刷の原版を作る作業を「DTP」と呼んでいます。
DTPはデスクトップパブリッシング(Desk Top Publishing)の略で、日本語では卓上出版というところでしょうか。
古くは写植機や製版機を使って職人が作成していた印刷原版作りが、パソコンの上でできるようになりました。
20世紀後半の、革新的なAppleのMacintoshの登場がDTPを誕生させました。
72dpiの画面解像度、デザインされたフォントなど、スティーブ・ジョブスはこのMacにDTPのための仕掛けを数多く盛り込みました。
DTPが変えた制作工程
従来の組版とDTPがもっとも異なる点は「WYSWYG」という概念にあります。
従来はデザイナー、ライター、写植オペレーター、製版職人などが版下づくりに携わっていました。
ライターが書いた手書き原稿を、写植オペレーターが文字を印画紙に写し、この印画紙や図をデザイナーが作ったレイアウト図を見ながら版下台紙に貼り込んでいきました。
最後は、それぞれの素材をカメラで撮影して製版職人が製版フィルムに落とし込んで印刷工程に回していました。
これに対してDTPでは、文字や図を画面上で自由にレイアウトできるようになりました。
WYSWYGとは「What you see is what you get」、つまり「画面で見たままに出力ができる」ということです。
今では当たり前の作業ですが、さまざまな人の手を経て版下台紙にならないと最終イメージを確認できなかった当時としては画期的な技術でした。
DTPの衝撃
余談にはなりますが、DTPの登場が制作・印刷の業界に与えた影響についてお話ししましょう。
前述したように、それまでの制作、印刷は多くの工程があり、分業が進んでいました。
DTPの登場により、それらの業界の姿が一変してしまいました。
まず、それまで版下作成の中心であった「写植」という工程が消滅しました。
1字1字、文字を拾って印画紙を作る写植に変わり、キーボードから文字を入力して画面上でレイアウトすることができるようになりました。
またたく間に写植業界は消滅しました。
次に製版業界も実質的に消滅しました。
製版は、版下台紙をカメラで撮影して製版フィルムを作る作業です。この製版フィルムを元に印刷原版を作成します。
DTPの進歩により、DTPデータから直接フィルムを出力できるようになりました。
さらに、CTP(Computer To Plate)という技術で、DTPデータから直接、印刷原版を出力できるようになりました。
こうして、写植、製版という業界が世の中から消滅したのです。
業界の消滅だけでなく、DTPは制作コストの低下や、デザイナーが直接、最終レイアウトまで手がけられるようになるなど、クリエイティブの面でも大きな変化をもたらしました。
今では当たり前のDTPですが、わずかな間に世の中に大きな変化をもたらしました。
株式会社 ワカール