”わかりやすい”マニュアル制作講座
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第33回 【原稿作成】用語集を用意する
マニュアルの原稿品質を確保する上で大切になるのが「用語」です。
とくに翻訳マニュアルの場合は、用語集の充実度が品質に大きく影響します。
一人で単発のマニュアルを作る場合は、用語集はそれほど大きな価値を持ちません。
しかし、チームで作業するボリュームの大きなマニュアルや、なんども改訂を繰り返したり、コンテンツの使い回しをするマニュアルの場合、用語集がないと、あっという間に用語のブレが発生します。
用語のブレ
言語の中では、同じような意味を持ついくつもの単語や表現が出現します。
「行なう」「行う」「実行する」「やる」「する」。。。など同じような動作を表現するにもさまざまな単語があります。
同じ母国語を持つ人が、一般通念の中で直感的に理解できる言葉であれば、大きな問題にはなりません。
しかし、マニュアルの中では、得てして最新の用語やユーザーに馴染みの薄い用語が使われます。
「インストールする」「実装する」「使えるようにする」。。。などなど、同じ動作を示していてもパッと見てわかりにくい用語が登場します。
その分野に不慣れなユーザーは、同じ意味を持つ異なる用語を、同じものと認識できません。
そのため、用語のブレはユーザーの迷いを生み出し、さらに内容に対する不信感を増幅させます。
少なくとも1冊のマニュアルの中では、同じ意味や動作を表す用語や表現は同じものを使うのが理想です。
そのためには、複数の執筆者や編集者が携わっても、用語や表現にブレが生じないように、用語集やスタイルブックを用意する必要があります。
用語集・スタイルブック
用語集
その製品やサービスで使われる用語をピックアップして、正しい表記をリストします。
「インタフェース」なのか「インターフェイス」なのか、など正しい表記がわかるようにします。
さらに、ある用語に対して、使用禁止の用語、表現を明確にしておきます。
対訳用語集
翻訳マニュアルの場合は、対訳用語をリストして、翻訳段階で用語にブレが生じないようにします。
スタイルブック
用語規則や文法規則、表現規則などをまとめたものをスタイルブックと呼びます。
一般的な表記などをまとめておきます。
たとえば、「行う」なのか「行なう」なのかなど、表記規則を統一することで文章のクオリティを一定に保つ助けになります。
株式会社 ワカール