”わかりやすい”マニュアル制作講座

第5回 【基礎知識編】ペルソナとは

 

 

「第4回 【基礎知識編】ユーザーはどんな人?」で説明したとおり、製品やサービスによって、それを使用する主要なユーザー層は異なります。

ユーザー層により知識や経験が異なるため、誰にでもわかりやすい、使いやすいマニュアルを作るのは至難の業です。

初心者向けに懇切丁寧に説明すれば、経験豊かなユーザーには冗長過ぎてかえって混乱を招く場合もあります。

ユーザー層に合ったマニュアルを企画、制作する必要があります。

 

ペルソナとは?

「ユーザー層」には幅があります。

「20~30代・女性・独身・一人暮らし」がターゲットユーザー層であっても、人として見るといろいろな人がいます。

実際に「その人」を意識して原稿を書くには対象が絞りきれず、曖昧な内容になってしまいます。

そこで、思い切ってユーザーを絞って、ユーザー層を代表する「個人」を設定(仮定)して、その人に語りかけるように原稿を書きます。

この仮定の個人を「ペルソナ」と呼びます。

例えば

 

「28歳・独身・○○短大卒・社会人8年目・転職1回・現在は化粧品メーカーの営業職で主任・・・・・」

 

という具合に具体的な人物像を設定します。

ユーザー層には幅がありますし、必ずしも営業職の人が使うものでなくても、ぜんぜんかまいません。

対象ユーザーをリアルに具体的に頭に思い浮かべられることが大切です。

 

なぜペルソナを設定するのか?

前述したとおり、幅広いターゲットユーザーに対して情報を提供しようとすると、内容が散漫になったり盛りだくさんになりすぎて、わかりにくいマニュアルができる可能性が高いものです。

たとえば、自分の奥さんに使い方を説明するとしたら、どんな説明をするか思い浮かべてみてください。

「きっと、ここで迷うだろうな」「ここは質問されるだろうな」ということが想像できると思います。

もし、奥さんがターゲットユーザー層の中心的なペルソナだとすれば、ターゲットユーザー層の8割程度の人たちは奥さんと同じ反応を示すと考えられます。

つまり、奥さんにわかりやすいマニュアルを作れれば、大半のユーザーのツボにもはまっている、ということが予測できます。

 

それ以外のユーザーはどうするのか?

ここで「ペルソナから大きく外れたユーザーにはわかりにくくなるのではないか?」という疑問を持たれる方もいると思います。

身も蓋もない言い方ですが「誰にでもわかりやすいマニュアルは作れない」というのが正直なところです。

であれば、8割のユーザーが満足するマニュアルを目指したほうがマニュアルのクオリティとしては評価されると思われます。

万人にわかりにくいマニュアルをつくるよりは、8割の人を満足させるマニュアルを目指したほうが得策です。

ターゲットユーザー層を慎重に洗い出し、的確なペルソナを設定して、そこにターゲットを絞ったマニュアルを制作することをおすすめします。

 

株式会社 ワカール