”わかりやすい”マニュアル制作講座

第6回 【マニュアルの構成】マニュアルを評価する要素

 

第6回 マニュアルを評価する要素

 

今回からはより実践的に「マニュアルの構成」に踏み込んでいきましょう。

マニュアルの構成には、目次構成要素、ページ構成要素など、さまざまな側面からの見方があります。

今回はその第一歩として「マニュアルを評価する要素」について考えてみましょう。

マニュアルの良し悪し、傾向、わかりやすさ等、あなたが作ったマニュアルを評価する要素がわかれば、企画、作成時に各要素を突き詰めて考えていけば、結果として良いマニュアルが作成できることになります。

 

マニュアル評価要素

一概に評価要素と言っても、人それぞれ、会社それぞれに違いがあります。

ここで紹介する要素は、あくまで一例または考え方です。

マニュアル制作の経験を積む中でご自身の評価要素を確立していくことが大切でしょう。

 

①目次構成

マニュアル全体の内容をどう組み立てるかを「目次構成」と呼びます。

目次に載せるレベルは、章・大見出し・中見出し・小見出しなどです。

まず、この構成がターゲットユーザーの行動に即しているか、製品・サービスの特性に適しているか、必要な情報が網羅されているか、などが大切な考慮ポイントになります。

全体構成が不適切だと、いくら良い原稿を書いても、わかりやすさにはつながりません。

 

②説明構造

ひとつの項目の中で、説明をどのように組み立てるか、情報をどのように弁別するか、どのように提示するかを決めます。

見出しのレベルとそこに入る情報のレベル、各見出し内の説明の展開、主流の説明と補助情報の切り分け方と提示の仕方、図などビジュアルをどう説明に組み合わせるか、などさまざまな要素があります。

通常は、大見出しレベルで構造を決め、マニュアル全体を通してその構造を踏襲していきます。

 

③ページレイアウト

目次構造、説明構造を踏まえて、さまざまな要素をページ内でどう見せるかのデザイン、レイアウトを決めていきます。

基本的なデザインフォーマットを決め、マニュアル全体を通して踏襲していきます。

マニュアルの場合、ページごとにデザインフォーマットが異なるとユーザーが混乱する可能性があります。

基本的には同じデザインフォーマットを使いますが、内容や目的が異なるときは章ごとに変えたりすることもあります。

 

④文章

マニュアルでは文章のよる説明が大きなウェイトを占めます。

わかりやすい文章で書くことを心がける必要がありますが、書き過ぎ(情報過多)はかえってわかりにくさを招く原因になります。

「第5回 【基礎知識編】ペルソナとは」で説明したペルソナをしっかり設定し、ペルソナに語りかけるように、ペルソナが理解できるかを念頭に置いて書くと大きく路線を外れることなく説明できます。

 

⑤図版・イラスト

すべてを文章で説明しようとすると、文字ばかりで頭の痛くなるマニュアルができてしまいます。

効果的に図やイラストを入れることが大切です。

マニュアルを使うユーザーは、文章を読むことが目的ではなく、使い方を知ったり、問題を解消するのが目的です。

できれば、ひとつの絵を見てすべてが解決できるなら、それに越したことはありません。

図で説明できないかを考える習慣を付けましょう。

 

⑥検索性

検索性はマニュアルにおいてとても大切な要素です。

マニュアルは一般の書籍と異なり、先頭から読み進められることはあまりありません。

困ったこと、必要なことが発生したときに、それを解決できる箇所をユーザーは探して読みます。

このため、いかに素早く的確に必要な箇所が探し出せるかが大切になります。

そのためには、1冊のマニュアルに使い方に応じていくつもの検索の仕組みを用意しておく必要があります。

目次や索引は必須として、目的別、機能別などのインデックスやページ内に現在地を示す仕組みなど、さまざまな工夫が必要になります。

 

⑦メディア

ユーザーに適したメディアでマニュアルが提供されるかも、評価を左右する要素になります。

印刷物のマニュアルであっても、用紙のサイズや印刷の色数、製本方法、用紙の種類など、使われるシチュエーションに提供形態が合致していると使いやすくなります。

 

 

株式会社 ワカール